高まる「弾劾棄却」の声

詳述してきたように、昨年12月に国会で弾劾訴追案が可決された当時には圧倒的不利と見られていた大統領側が全面攻勢に出るにあたり、「弾劾が棄却されるかもしれない」という声が高まっている。特に国会議事堂のある汝矣島(ヨイド)を中心に「裁判官2人が棄却に票を投じる」という噂が出回っていると複数の韓国メディアが報じている。

全国放送を行うテレビ局・SBSは8日のニュースで「こうした噂により利益を得る一団が噂を流布している」とし、「(朴大統領支持派のような)内部の結束を高めるためにとても有効な手段」と評している。ただ、これまでも憲法裁判所の判決を前に、判決にまつわるあらぬ噂が飛び交った事例が多くあるとし「憲法裁判所側にはまったく影響がないだろう」と見通した。

筆者が野党関係者や市民団体関係者に話を振ってみても、「弾劾が棄却されることはあり得ない」という答が支配的だ。これは願望ではなく、憲法裁判所の審理が、朴大統領の13の弾劾事由のうち全てが認められてこそ「認容」になるという性質のものではないという点が関わっている。すでにその間の捜査により、朴大統領の指示により国家機密が流出した点などが明らかになっている部分が大きい。

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しかし、韓国で強い影響力を持つニュースチャンネルYTNの8日夕刻のニュースで、ゲストとして出演した政治評論家が「棄却の可能性は濃厚だ」と公然と語るなど、棄却説が一定の市民権を得はじめているのは確かだ。昨年12月の時点では考えられなかった事態といえる。ひと言でいうと、弾劾間違いなしとの確信が韓国市民の心の中で揺らぎ始めている。

国会前弾劾可決
輪になって弾劾訴追案可決の喜びを分け合う女性たち。底抜けの笑顔がまぶしい。昨年12月9日国会前で撮影。

憲法裁判所の判決まではまだひと月以上あるため、こうした事態が続く場合、棄却説がさらに力を帯びる可能性が高い。




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