「弾劾なくして選挙無し」危機感募らせる野党側

こうした動きを敏感に察知し、もっとも早く警鐘を鳴らしたのは、第4野党・正義党の沈相奵(シム・サンジョン)代表だ。沈氏は2月5日、自身のツイッターに「弾劾の行方がただごとではない」とし「総力戦を展開している特別検察を横目に野党は何もしていない」と批判した。さらに「弾劾に向けて(野党)協調をすぐに復元し、青瓦台の強制捜査や特別検察の延長を貫徹しなければならない」と続けた。

続けて、第一野党の共に民主党も重い腰をあげる。文在寅(ムン・ジェイン)、安熙正(アン・フィジョン)、李在明(イ・ジェミョン)といったスター候補を党内に多く抱え、「予備選が実質上の次期韓国大統領選」とも言われる同党では、各候補がし烈な選挙戦をスタートさせているが、朴大統領の弾劾がスムーズに行われるよう集中しようという方針に転換を図っている。「弾劾なくして選挙無し」だ。

韓国野党三党代表
2月8日に会合を持った野党三党の代表たち。左から国民の党・朴智元(パク・チウォン)代表、共に民主党・秋美愛(チュ・ミエ)代表、正義党・沈相奵(シム・サンジョン)代表。写真は共に民主党HPより引用。

連合ニュースによると、野党三党(共に民主党、国民の党、正義党)の各代表は8日、国会で会合を持ち「(李貞美裁判長が退任し7人体制となる)3月13日以前に憲法裁判所が判決を迅速に下すことに加え、特別検察の捜査期限の延長を求めていくこと」に合意した。共に民主党と国民の党は、次期大統領選をめぐり激しい誹謗合戦を始めていたが、表向きは休戦したかっこうだ。

また、大統領選候補たちも声を挙げた。支持率1位を維持する文在寅氏は8日、自身のフェイスブックに「憲法裁判所が2月内に大統領弾劾の宣告をすることが事実上霧散した。朴槿恵大統領は憲法蹂躙、国政ろう断に飽き足らず、憲法裁判所を無力化する意向を露骨にあらわしている(中略)混乱を収拾する責務が憲法裁判所にあるため、国民の意を汲んで迅速に審判を下して欲しい」と書き込んだ。

また、李在明氏は7日、憲法裁判所前で記者会見を行った。地方紙の中部日報によると李氏は会見で「朴槿恵大統領はすでに憲法が規定した大統領の責務である、国民すべてに対する法治と遵法を象徴する存在で無くなったのは明白だ」とし「2月内に弾劾決定を」と要請した。

李在明(イ・ジェミョン)
憲法裁判所前で演説する李在明(イ・ジェミョン)城南市長。最近は支持率が低迷気味だが、熱烈な支持者が多く、予備選に期待をかけている。写真は李在明氏のHPより引用。

こうした政治家による憲法裁判所への圧力に対し、与党セヌリ党から分党した「正しい政党」の一部議員から、三権分立を侵害する行為だとして強い批判が出ている。また、国民の党の大統領候補である安哲秀(アン・チョルス)元代表も9日「憲法に従い(弾劾)手続きが進んでいる状況で、政治家たちが憲法裁判所を圧迫するのは望ましいことではない」との立場を明かしたと日刊紙・京郷新聞は報じている。




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