「未完の革命」への憂慮

ナム氏は一方で、憂慮も口にした。

「ろうそく革命は終わりでなく始まりだ。THAAD(サード、高高度ミサイル防衛システム)導入問題にはじまり、最低賃金の引き上げ、財閥優遇による格差の問題など、韓国を『ヘル朝鮮』たらしめてきた『積弊(積み重なった問題)』の清算に向かわなければならない。だが『4.19革命(初代大統領の李承晩政権を倒した民主化運動)』や『6月革命(87年6月の民主化運動。大統領直接選挙制を勝ち取った)』のように『未完の革命』に終わってはならない」

「4.19革命」は軍人・朴正煕氏(のちの大統領)のクーデターにより潰え、「6月革命」も民主主義が後退し、暮らしにくい国家「ヘル朝鮮」になるのを防げなかったと位置付け、歴史に新たな一歩を刻む意気込みを示したかたちだ。

現在の事態を韓国の市民社会がどう捉えているのかを端的に示す表現と見てよいだろう。

退陣行動会見3
記者会見には多くの報道陣が詰めかけた。日本語メディアは本紙だけであった。

棄却の場合は「国民に寄り添う」と

このように「退陣行動」側は、朴槿恵大統領の罷免(認容)を当然視しているが、報道陣からは「棄却時にはどういった対応を取るのか?」という質問が相次いだ。

これに対し前出のナム氏は苦笑しつつ、「棄却の可能性はゼロだと思う。想像もしていない。万一そうなった場合の対応は『退陣行動』が決めるものではなく、国民たちの声に従うことになるだろうと」と明かした。

一方、「退陣運動」のアン・ジンゴル共同代表は「韓国は民心の大爆発を通じて歴史を作ってきた前例がある。棄却となった場合には、市民の大いなる怒りが爆発すると思う。その時にはこれまで同様一緒に歩んでいく」と、一歩踏み込んだ見解を示した。

弾劾反対派については「白色テロは容認できない」

宣告日当日は、朝から憲法裁判所前で「退陣行動」側と朴大統領の弾劾に反対する「太極旗デモ」側双方による集会が予定されている。衝突を憂慮する質問に対し、アン氏は以下のように答えた。

「(弾劾反対派による)白色テロが度を越している。韓国の抵抗の歴史には暴力もあったが、それはあくまで権力に対する抵抗の暴力だった。だが『太極旗デモ』の一部では同じ市民、記者に暴力を振るい、特別検察の自宅前でも示威行為を繰り返している。警察がこれを黙認しているのが理解できない。宣告当日の激突については『ろうそくデモ』は彼らの近くに行かないので心配していない。ただ、彼らが乱入してくることは考えられる。その場合には警察が適宜処置をすると思う。彼ら(太極旗デモ側の)の行為は絶対に容認できない」

参考記事: [特集]韓国のデモから未来を読む (1)朴槿恵大統領支持派による弾劾反対「太極旗デモ」(写真27枚)




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