「実質的な大統領選」とも呼ばれる「共に民主党」の予備選挙。候補者4人によるテレビ討論会まとめ第2弾をお送りする。白熱した応酬が繰り広げられた。なお、各候補の発言は抜粋であるものの、最大限に原文を参照している。(ソウル=徐台教)

「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(1)自己アピールと共通質問
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(2)候補者検証討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(3)候補者別の主導権討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(4)共通質問、最終アピール、総評(終)

候補者検証討論その1 李在明

このパートは文字通り、候補者の資質を検討する時間だ。各候補者に対し他の3人が質問をぶつけ、候補者がそれに応えるかたちで行われた。まずは李在明(イ・ジェミョン)城南市長が対象となった。

文在寅文在寅

李在明候補はスカッとする発言で有名だ。だが、逆に言うと安定感がなく、社会の分裂や葛藤を増幅させるという批判も多い。偏り過ぎではないか?大統領は葛藤を治癒し、国民の統合や社会的な大妥協を行わなければならない。

李在明李在明

統合と縫合は違う。安定感は哲学と価値、そして一貫性から出てくるものだ。時と場合や相手によって言葉を変えたり、態度や価値を変えることこそが不安定だ。私はこれまで一度も立場や原則を変えたことがない。この社会の真の統合とは、腐敗と既得権勢力を清算し、常識的な社会になることだ。

安熙正安熙正

ここにいるすべての候補が積弊の清算と国家大改革を強調している。李候補に聞きたい。先月2月の国会でも、私たちが望む多くの改革立法案が国会を通過できなかった。誰が大統領になろうとも、(今後3年は)この議会で法案を通してこそ積弊の清算ができる。どんな案があるのか。

李在明李在明

積弊勢力と手を結び、積弊を清算する制度を作るということ自体が自己撞着(矛盾)だ。積弊の清算のためには、国民と手を結んで正面突破しなければならない。このため、野党連合政権が大事だ。

崔星崔星

朴前大統領弾劾後の次期大統領には清廉性が大切だ。李在明候補は飲酒運転、無辜罪(虚偽告訴罪)および公務員詐称、公務執行妨害、公職選挙法違反など前科4犯だ。これを自ら恥ずかしくない前歴だと公開したが、どんな理由からか。

李在明李在明

若い日の飲酒運転についてはもう一度謝罪したい。しかし続く二つの罪については、私が弁護士として、市民運動家として社会の不正腐敗を清算するために犠牲的に戦った結果、起きたことだ。公務員詐称は当時同行していたテレビ局のプロデューサーの罪を着せられたものだ。また、公務執行妨害は、市民のための病院を作る条例が突如廃止になり起きた住民の抗議デモの際に、住民団体の共同代表だったため責任をとったものだ。

李在明氏はここでも、政経癒着や財閥優遇に代表される韓国社会の「積弊」に立ち向かう強い姿勢を見せた。前科に関しては、自らの勲章であると反論した格好だ。




候補者別検証討論その2 文在寅

安熙正安熙正

文在寅候補は、国家大改革、積弊清算の手段として大連立ではなく小連立を主張している。これは保守政党とは手を結ばないということだが、そうなると残るパートナーは国民の党だけになる。しかし同党は文候補とは手を結びたくないとしている。改革案の立法を進める良いアイディアがあるのか?

文在寅文在寅

積弊清算と社会大改革は国民の力により行われると考える。国民の支持と同意を得て進めば、野党(国民の党)もそれに対抗できないと思う。大連立は小連立でも多数派を作れない時にやるものだ。今は野党同士力を合わせれば多数議席となる。

崔星崔星

先日、全仁釩(チョン・インボム)元特殊戦司令部司令官(編注:予備役中将)は「5.18(80年5月の光州民主化運動)の際に発砲命令を下したのが全斗煥(編注:チョン・ドゥファン、元大統領、当時軍を掌握した最高実力者であった)だとは思わない」と発言したため、辞退に追い込まれた。高校時代に光州で「5.18」を経験した私としては理解できない。側近の失言が相次いでいるが、側近人事の検証システムに問題があるのでは?

文在寅文在寅

全仁釩将軍の発言は私自身も誤っていると指摘したし、本人も謝罪した。何より、私自身「5.18」の時に拘束されている人物であることを伝えたい(編注:当時、民主化運動の経歴がある人物の多くが逮捕された)。全ての人がみな完全ではいられない。私自身にも弱点がある。そうした人が集まって長所を生かすことができれば、政権交代の原動力になるのではと思っている。

李在明李在明

文候補が福祉の拡大に神経を払い、増税すると主張している点に同意する。文候補は、5歳までの児童手当を一人目は10万ウォン(約1万円)、二人目は20万ウォン、三人目は30万ウォン支給し、基礎年金を10万ウオン増やし、対象者も80%に拡大するとしているが、財源はいくらになるのか?それと、なぜ法人税の引き上げを「最後の増税手段」なのか、私はいの一番でするべきだと思うのだが、どう思うか。

文在寅文在寅

李候補は、国民2800万人に一人当たり年間100万ウォン(約10万円)を、そして全国民に年間30万ウォン(約3万円)、あわせて計44兆ウォン(約4兆4千億円)を使うと言っている。私は基本所得制の趣旨には共感するが、一律的な支給は無理であり、階層別に分け必要な人々の福祉を増やすべきだと考える。

李在明李在明

李在明:結局、答えを聞けずじまいだった。(後に文氏に代わり李氏が約10兆ウォンと明かす)

支持率で圧倒的な優位に立つ文在寅氏は年長者ということもあるのか、余裕を漂わせる。だが「メモを見なければ話せず、アドリブに弱い」という評判を感じさせる一幕も。

共に民主党予備候補4人による討論会。
共に民主党予備候補4人による討論会の様子。共に民主党HPより引用。

候補者別検証討論その3 安熙正

崔星崔星

オーマイニュース(編注:左派系ネットメディア)の大統領選候補の検証記事を見ると、安候補は2002年の大統領選当時、サムスンなどから52億ウォン(約5億2千万円)の違法な政治資金を授受し、このお金の中から3億6000万ウォン(約3600万円)を個人のマンション購入と選挙出馬のための世論調査に使ったとある。これまで安候補は「党のための犠牲であり、個人的な流用はなかった」と話しているが、真実は何なのか。

安熙正安熙正

同じ党に所属する同志から、このような質問を受けるとは思わなかった(編注:傍目で分かるほど激怒)。一部の資金の流用事実についてはすでに謝罪をしている。また、地域区での選挙のため使った費用は、大統領選挙の資金(52億ウォンを指す)とは別の問題だ。これに関しても謝罪をしているし、責任も取った。

李在明李在明

福祉の拡大は経済成長の新たな基礎となるというのが、IMF(国際通貨基金)などの国際金融機関の推奨事項だ。全国民に年間30万ウォン(約3万円)を支給する政策に対し、安候補は今も「福祉はタダ飯もしくは浪費だ」と考えているのか聞きたい。

安熙正安熙正

福祉政策全体に関して「タダ飯」といったことはない。ただ、その43兆ウォン(編注:44兆ウォン、約4兆4千億円)をもっと緊急な社会福祉分野に当てようということだ。障碍者の給付率、老人の貧困、各種社会保険における給付率の向上、保育問題など社会福祉の財政に当てたい。

文在寅文在寅

安候補は具体的な公約よりも価値と哲学を持った候補を選ばなければならないと言っているが、実際の公約に具体的なものが無い。安候補は政策の公約は個人のキャンプではなく党に任せるべきだとし、それこそが政党政治だとしている。だが有権者は具体的な公約を見てこそ、候補の価値と哲学が実現可能なのか判断できるのでは?

安熙正安熙正

韓国を率いるならば、民主主義をどううまく実践し、国民をどう団結させるか、そして国論の分裂をどう克服するのかについての所信を述べる必要がある。これこそが我々のするべき討論である思う。

安熙正氏の最も痛い所をを崔星氏がついたことで、傍目で分かるほど安氏の顔が硬直し、怒りをたたえるものとなった。だがうまく感情をコントロールし、何とか乗り切った。




候補者別検証討論その4 崔星

李在明李在明

基本所得制は居住する地域でのみ使える地域通貨で支給する。すると自営業者の売上もあがり経済成長の助けになる。(崔氏が市長を務める)高陽市にもこのような制度があるか?政策を発見することができなかったので、代わりに聞く。

崔星崔星

李候補の公約を高く評価する。ただ、家計の負債、企業の負債、国家の負債を合わせると、国民一人あたり1億ウォン(約1000万円)を超える危機だ。国家の経済力を強化するという考えから、財閥の子息までにも一律100万ウォンをあげるのではなく、青年たちの根本的な問題を解くべきだ。

文在寅文在寅

次期政府の最大の課題は雇用であると思う。このための国家均衡発展をどうする計画か?

崔星崔星

米国式連邦制並みの水準を持つ、革新的な自治分権を実現するための改憲こそが最も重要だ。雇用の創出は中央政府が一方的に推進するのではなく、地方政府の首長が地域の革新企業と一緒に推進していくものだ。

安熙正安熙正

次期政府で連立を行うべきと考えるか?世論調査では70%以上の国民が連立が必要だと考えているという結果だった。国家的危機の克服のためには安定した政治勢力や妥協の政治が必要だ。どう思うか?

崔星崔星

安候補は最後まで大連立にこだわるが、連立と協治は違う。大連立というのは連立政府を構成することだが、憲法裁判所の決定を認めない自由韓国党(旧セヌリ党)と政府を構成するというのは、独立運動家と親日派が連立するようなものだ。連立を民と共に行うのであるなら、いつでも賛成したい。

泡沫候補とも揶揄される崔星氏であるが、青瓦台、国会議員、100万都市の市長2期という確かな経験に裏打ちされた討論には隙がない。

(3)に続く。

「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(1)自己アピールと共通質問
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(2)候補者検証討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(3)候補者別の主導権討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(4)共通質問、最終アピール、総評(終)