主導権討論その3 文在寅

文在寅文在寅

まず李在明候補に聞きたい。私の公約の核心は雇用を増やす大統領になるというものだ。まずは公共部門からはじめ81万の雇用を作り出すと公約した。しかし李在明候補は基本所得制が公約の核心のようだ。それに必要な44兆ウォン(約4兆4千億円)をは、わが国の国防費よりも多い金額だ。その財源対策はどうなっているのか。

李在明李在明

基本所得は、障碍者・29歳以下の青年・児童・学生たち・老人・農漁業民など脆弱な階層が対象だ。支援の必要がある人々だ。財源は先ほども話した通り、今年の国家予算400兆ウォン(約40兆円)のうち、大統領の裁量予算が142兆ウォン(約14兆円)ある。

これは土木予算とするのか、資源外交に使うのかなど用途を選択できる。7%程度の負担なので十分に作れると見る。

文在寅文在寅

李候補は、財源の一つとして法人税の引き上げを強調している。現在、わが国の法人税の最高税率は22%だが、李候補はそれを一度に8%も引き上げて30%にすると公約している。1,2%ではなく、8%もの引き上げに企業が耐えきれるだろうか?

李在明李在明

すべての企業を対象にするのでなく、500億ウォン(約50億円)以上の営業利益を出す440の企業に対し、500億ウォン以上の分に対し増税するということだ。これは企業からお金を取り上げようというのでなく、大企業や財閥がお金を貯めこむことで経済が停滞している点を解決するためのものだ。これまで過度に減税されてきた点を解消し、福祉政策を通じ経済成長を作ろうというものだ。

文在寅文在寅

福祉を強化する点には同意する。しかしその財源は雇用を作ることに使う方が、経済再生に向けた根本的な対策になるのではないかと思う。次に安熙正氏に質問したい。安候補は政党政治を強調しつつ、しきりに大連立を語るが、それは共に民主党の党論ではない。大多数の所属議員や党員、支持者が反対するのに、主張し続けるのは矛盾であり独断的な主張ではないか?

安熙正安熙正

そう見えるかもしれないが、私はそうは思わない。大連立とは、内閣構成において大統領の人事権を議会と共有し議論するというものであるため、候補者となる場合に、党に提案できる内容であると見る。大連立はあくまで政党が中心になるということだ。最後に、国民の70%以上が小連立、大連立に賛成しているため、政党政治の原則に反しないと言いたい。

文在寅文在寅

大学の学費についても、おととい安候補は国公立大学の学費をすべて無料にすると公約を掲げた。だが、前回の総選挙(16年4月)でも党の公約は国公立、私立の区分なく学費を半額にするというものだった。これについても党の立場と矛盾するのでは?

安熙正安熙正

私もそのために政策研究院(編注:民主研究院、民主党のシンクタンク)を訪ね、政策を党に説明した。私が今、予備候補として立候補しているのは国民に同意を受ける過程と見なせる。候補を経て大統領になるのならば、党と協議することになるのではないか?

文在寅文在寅

崔星候補に質問したい。第4次産業革命の時代に備え、先導していくことで多くの雇用が作られると考える。私はこれに対し、国家が必要なインフラを用意するべきと考えるが、これに対し「朴正煕(パク・チョンヒ、元大統領)式のパラダイムだ」と批判を受ける。

しかし私は「金大中(キム・デジュン、元大統領)式」と呼びたい。金大中大統領が過去に超高速インターネット網を構築したため、我が国がIT強国になれた。どう思うか?

崔星崔星

もう答える時間がない。第4次産業革命は最も力を入れるべき新成長動力産業であると見る。

付け加えると、他の候補者には過去2回の討論で合意した通り、犯罪経歴証明書を必ず提出してもらいたい。討論会が清廉なものになって欲しい。また、支持度が低いからと、公正な発言機会が与えられない部分を変えてほしい。こんな不公正な討論で、どうやって公正な韓国のために努力していけるというのか。

81万という大口の雇用を作り出す目玉公約を強調した。また、ここでは党の役割を強調することで、安氏の孤立を図るなど、老練な討論を展開した。崔星氏は自身の支持率が低いため発言の機会が少ないことに対し、正式に抗議した。




主導権討論その4 安熙正

いよいよ主導権討論も最後の一人。

安熙正安熙正

まず文在寅候補に質問したい。多くの人が文候補のリーダーシップについて疑問を持っている。今回、金鐘仁(キム・ジョンイン、元共に民主党非常対策委員長。16年4月の総選挙で民主党の大躍進を導いた)前代表が離党したが、文候補は「残念だ」としか言わなかった。直接訪ねて思いとどまるよう説得しなかったと聞いているがどう思うのか?

文在寅文在寅

間でたくさんの人が説得する努力をしたとまず伝えたい。金前代表を呼び寄せた時には、考えには差があるが「経済民主化」だけは一緒にできると考えていた。今も同様の考えだが、残念だ。

ただ一つ話しておきたいのは、金前代表の方式が、政党民主主義を追求するわが党のものとは大きく異なるという点だ。「無条件で俺についてこい」という方式に同意することはできない。

安熙正安熙正

それを克服するのが、われわれ指導者に与えられた苦しみではないか。この点で、文候補のリーダーシップに多くの人が不安を抱いている。文候補が政界に入って以降、孫鶴圭(ソン・ハッキュ、元民主党代表、現国民の党大統領予備候補)、キム・ハンギル(元民主党共同代表)、朴智元(パク・チウォン、現国民の党代表)、安哲秀(アン・チョルス、元民主党共同代表)まで、みな党を去っていった。

その責任がすべて文候補にあるとは言わないが、この過程で統合するリーダーシップを発揮できなかったと考える。どう思うか?

文在寅文在寅

権力争いの結果であったとしたら、その批判を謙虚に受け入れる。しかしこれは、党を革新する過程で起きたことであり、革新に反対する方が党を離れたものだ。実際に党は革新に成功したし、今や政権交代の主体になっているではないか。

安熙正安熙正

その点における文候補の功を認める。文候補は私の大連立構想を強く批判するが、金鐘仁元代表も前回の大統領選で朴槿恵大統領陣営を率いた人物ではないか。理解できない。とにかく、党内の統合について効果的なリーダーシップを発揮できなかったのに、国家の指導者となり、韓国の分裂と葛藤をどう統合していくのか?

文在寅文在寅

今の安候補の大連立構想には、多数派になりたいということ以外の価値が見いだせない。小連立(野党連合)にはじゅうぶん共感するが、自由韓国党(旧セヌリ党)まで含む大連立は全く受け入れられない。

安熙正安熙正

これに関し、私の所信をもう一度明らかにしておきたい。先日の李貞美(イ・ジョンミ)憲法裁判所長代行の判決文をもう一度読んでみたい。「私たちが愛する民主主義、その要諦は、自身の考えと異なるとも、他人の意見を尊重することにあると信じている」。指導者はこうあるべきだ。

次に崔星候補に質問したい。先ほど自治分権を強調したが、完全に共感する。自治分権という未来の国家像にいついて説明をして欲しい。

崔星崔星

私はこれまで、青瓦台(大統領府)、国会議員、そして100万都市の市長と様々な経験があるが、今回、帝王的な大統領制の弊害を生んだ最も大きな原因が、地方自治政府の不在ではなかったのかと考える。

李在明市長、安熙正知事、朴元淳(パク・ウォンスン、現ソウル市長)のような方が、しっかりと地方政府を構築していたならば、今回のような国政ろう断が起こりえただろうか?

私は野党三党(共に民主党、国民の党、正義党)が自治分権改憲に向けた三党改革政府を作ることを、一刻も早く大統領選前に合意する必要があると見る。選挙後には政治家だけでなく、ろうそくデモに参加した市民たちと共に教育、積弊清算、民主主義、人権などの問題に対して合意を導き出すようなシステムを作れるならば、韓国の未来は明るいと見る。

安熙正安熙正

ありがとうございます。崔星候補の鋭い質問から常に学んでいる。最後に李在明候補に質問したい。愛情のある質問と受け取っていただきたい。李候補は、大胆でスカッとしている。それはとても卓越した能力だろう。しかし、大統領としてより大きな指導者になるならば、もう少し国民や議会を包容する努力がいるのではないか。

李在明李在明

明確にしておきたいのは、私はこの社会の腐敗した既得権者に対しては、少しやり過ぎと思えるほどに厳格だが、そうでない隣人や、考えが違う方たちとは共に過ごせるという点だ。当然、包容し協治していかなければならない。私が清算しようとするのは隣人という隠れ蓑をかぶっている泥棒のことだと思っていただきたい。

安熙正安熙正

指導者にとっては泥棒も同じ国民だということを知って欲しい。そして常に対話するという温かい進歩(革新)の道を、われわれ皆が歩んでいこうと伝えたい。ありがとうございます。

安熙正氏は政治家の哲学に人一倍こだわりがあり、時に「難解だ」と批判を受けることもある。主導権討論を通じ、自身の政治哲学を明らかにした格好だ。

(4)に続く。

「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(1)自己アピールと共通質問
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(2)候補者検証討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(3)候補者別の主導権討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(4)共通質問、最終アピール、総評(終)