大統領選まで40日余りとなり、各政党の予備選が大詰めとなっている。各党候補が出そろうのは来週だが、趨勢が決まる今週は「スーパーウィーク」と呼ばれ注目を集めている。各党の動静をまとめた。(ソウル=徐台教)

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(1)共に民主党はいよいよ予備選が本格化

大抵の世論調査において、支持率1位の文在寅(ムン・ジェイン)元代表、2位の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事、4位の李在明(イ・ジェミョン)城南市長を擁する共に民主党は、4月3日の本選候補者を選出するための投票が22日から始まっている。

共に民主党予備選候補
共に民主党の予備選候補。左から李在明、崔星、文在寅、安熙正の各氏。同党HPより引用。

各候補にとって、緒戦であり、最も重要と言える湖南(ホナム、全羅南北道、光州市を含む地域)での結果発表が27日の午後にある。22日の投票所での投票、25日、6日にかけての電話投票、そして今日27日には光州市内で代議員投票が行われる。

共に民主党の予備選システムは、以下の3つの投票を合算した結果で候補者が決まる。
(1)選挙人団(事前に登録した者)、一般党員を対象とする投票所での投票(3月22日に実施済)
(2)選挙人団(事前に登録した者)、一般党員を対象とするARS(自動応対電話)投票(各地域2日間ずつ)
(3)湖南・忠清・嶺南・首都圏/江原道/済州道の順で行われる代議員投票(3月27日~)

湖南地方は、民主党にとって非常に大事な場所だ。1980年5月18日の光州民主化運動をはじめ、故金大中(キム・デジュン)大統領の政治的基盤として、韓国の民主化を支えてきた。

日刊紙の中央日報は27日付けの記事で「第15代選挙の金大中候補以降、湖南でトップを逃した候補が民主党の大統領選候補になった例がない。湖南一位は民主党の正統であるという位置づけになるため、残る地域の予備選への波及効果が高い」としている。

これまで、共に民主党の候補者4人は、7度にわたりテレビ討論会を行っている。過去、本紙では朴槿恵大統領罷免後に行われた3度目の討論会を詳しく伝えた。残る討論会の論点も順次まとめていく。

「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(1)自己アピールと共通質問
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(2)候補者検証討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(3)候補者別の主導権討論
「共に民主党」大統領選候補4人によるテレビ討論会まとめ(4)共通質問、最終アピール、総評(終)




(2)自由韓国党(旧セヌリ党)は洪準杓・慶尚南道知事が本命

朴槿恵大統領の所属政党として、世論の逆風をまともに浴び、支持率が低迷している与党・自由韓国党からは、4人の候補が予備選に臨んでいる。

現在までの見通しでは、洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事(62)が1位の支持を集め、本選の候補になるとされる。

洪準杓写真
自由韓国党の予備選で1位を走る洪準杓氏。歯に衣を着せない毒舌家としても有名だ。時に暴言となり問題視されることも。自由韓国党HPより引用。

洪氏は過去、汚職に鋭いメスを入れるスター検事として知られ、政界に入ってからは4選の議員を務める一方、2010年にはセヌリ党の前身・ハンナラ党の代表を務めるなど、全国区の知名度を誇る。

黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行が次期大統領選への不出馬を表明した3月15日以降は、保守候補の中で1位の支持率を得ている。平均10%弱と、4位の李在明氏に肉迫する勢いだ。

自由韓国党の予備選は、責任党員の投票(26日に終了)と世論調査(29~30日)の結果をそれぞれ50%ずつの割合で合計して、31日に候補者が決まる。

同党もこれまで4度にわたるテレビ討論を行っている。こちらも保守政党の意見として見落とすことはできないので、資料として順次まとめていきたい。

(3)国民の党は安哲秀元代表の圧勝で勢い

現在、もっとも盛り上がりを見せているのが、国民の党の予備選だ。安哲秀(アン・チョルス)前代表、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)元民主党代表、朴柱宣(パク・チュソン)現国会副議長の3人が激突する予備選は安氏と孫氏の一騎打ちとなっている。

だが、大方の予想を覆し、安氏がこれまで圧勝を収め、大統領選本選に向けた助走としては申し分のない結果となっている。

25日の光州・全羅南道・済州道の予備投票で安氏は60.69%の得票率で1位になり、続く26日の全羅北道での予備投票でも72.63%の票を集めた。

合計では安氏が64.6%、孫氏が23.48%、朴氏は11.92%となり、前述した通り、民主化の象徴ともいえる湖南で圧倒的な人気を得た格好だ。

安哲秀0326
26日の予備選でアピールする安哲秀氏。2012年の大統領選では、文在寅氏に候補者を譲ったが、今回は並々ならぬ覚悟で選挙に臨んでいる。同氏HPより引用。

国民の党の候補は、28日に釜山市・蔚山市・慶尚南道、30日に大邱市・慶尚北道・江原道、4月1日に京畿道、4月2日にソウル・仁川市を経て、4日に大田市・忠清南道・忠清北道・世宗市での投票を経て決定する。

全国で孫氏に圧勝する場合、全国で35~40%の支持率を集め、不動の1位を走る文在寅氏への対抗馬として、現在支持率10%にとどまる安氏の存在感がグッと増すことになる。

安氏は事あるごとに「今回の大統領選は文在寅と安哲秀の一騎打ちだ」と主張してきたが、その予想を現実にできるか、安氏の勢いがどこまで続くかに注目が集まっている。

また、国民の党の予備選は、他の党とは一線を画す方法で行われている点も興味深い。市民は身分証ひとつで予備選に投票できる。共に民主党は事前登録が必要な点と比べると、「実験」とも言われる完全自由参加の方法だ。

投票に参加した市民が25日には6万2000余人、26日には3万余人となるなど「5万票程度」としていた韓国メディア各紙の予想よりもはるかに多く、同党の予備選を盛り上げる要素となった。

湖南地域での国民の党予備選への関心の高さは「反文在寅の根強さを示すもの」と分析する向きもあり、安氏の圧勝を受け「安風」という単語が登場するなど、前回2012年の大統領選のような「安哲秀ブーム」の気運がにわかに高まっている。

国民の党もこれまで4度にわたるテレビ討論を行っている。こちらも順次まとめていく。




(4)正しい政党は劉承旼議員でほぼ確定

与党・セヌリ党(現・自由韓国党)から分かれた反朴槿恵派議員の党・正しい政党の予備選は、明日28日に決着が付く。

これまで湖南、嶺南(慶尚南北道、大邱、釜山)、忠清南北道、ソウル・首都圏の4か所で行われた国民政策評価団による投票では、いずれも劉承旼(ユ・スンミン)同党議員が一騎打ちとなっていた南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事に勝ち、本選行きがほぼ確実となっている。

正しい政党劉承旼
正しい政党の予備選候補。左から劉承旼、南景弼氏。同党HPより引用。

経済学の博士号を持ち、「経済専門家」を自認する劉承旼候補は、世論調査の支持率は5%以下と低迷しているが、今後、他の野党候補との単一化も視野に入れ、巻き返しを図るものとされる。

正しい政党もこれまで、4度にわたるテレビ討論会を行っている。劉承旼候補の発言を軸にまとめていきたい。

最新の世論調査結果まとめ

REALMETER社3月27日政党支持率
REALMETER社が3月27日に発表した政党支持率の結果。左から共に民主党、国民の党、自由韓国党、正義党、正しい政党、その他、無党派層となっている。全国30,785名への調査で応答者は2,553名(8.3%)。信頼度95%±1.9%となっている。調査期間は3月20日~24日。REALMETER社HPより引用。

 

REALMETER社3月27日候補者支持率
REALMETER社が3月27日に発表した大統領候補支持率の結果。上から文在寅、安熙正、安哲秀、李在明、洪準杓、金鎭台(敬称略)となっている。調査概要は上のグラフと同一。REALMETER社HPより引用。

 

韓国Gallup社0323大統領支持率調査
韓国Gallup社が3月23日に発表した世論調査結果。大統領候補支持率を問うもの。上から文在寅、安熙正、安哲秀、李在明、洪準杓、沈相奵(シム・サンジョン、正義党代表)、金鎭台、劉承旼、孫鶴圭(敬称略)、その他、無し・無回答。全国5,254名への調査で応答者は1,007名(19%)。信頼度95%±3.1%となっている。調査期間は3月21日~23日。韓国Gallup社HPより引用。