正しい政党」の大統領選候補に、劉承旼(ユ・スンミン,59)氏が確定し、「国民の党」の安哲秀元代表は釜山で行われた予備選で三連勝を飾った。一方で、支持率1位の文在寅氏と闘うための候補統一策も語られ始めた。(ソウル=徐台教)

劉承旼氏は62.9%の得票

正しい政党は、今年1月に朴槿恵政権時の与党セヌリ党(現・自由韓国党)から分かれた保守政党。

議席数は33と、院内交渉団体(20人以上の国会議員で構成され、国家予算による支援の大幅な増加に加え、国会運営での発言力増加など利益が多い)を持つ政党としては最も少ない。

南景弼と劉承旼
正しい政党の予備選候補。左から南景弼、劉承旼氏。同党HPより引用。23日に撮影したもの。

「正しい=パルン」という名まえからも分かる通り、「汚職大統領」である朴槿恵大統領への忠誠を捨てきれない自由韓国党とは異なる「正しい保守」を標ぼうしている。

この党の大統領候補に28日、劉承旼氏が選ばれた。この日、ソウル市内のオリンピックホールで候補選出大会で、劉氏は62.9%の得票でマッチレースを繰り広げていた南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事に勝利した。

なお、敗れた南知事の選対本部は「2018年の全国同時地方選挙で、京畿道知事の再選を目指す」と明かしたと中央日報が報じている。




「正しい保守とは何か」劉承旼候補の受諾演説ダイジェスト

劉氏が当選後に行った、受諾演説の要約を掲載する。劉氏が掲げる韓国の「新しい保守」「正しい保守」の内容がどういうものか判断されたい。

劉承旼議員
正しい政党の大統領選候補となった劉承旼(ユ・スンミン)議員。経済学博士の学位を持つ勉強家としても有名だ。劉承旼選対本部Youtubeページよりキャプチャ。

わたくし劉承旼は、今日この瞬間から、正しい政党の大統領候補として勇敢に出馬します。皆さんの熱い想いを受けて、5月9日には必ず、感動の大逆転ドラマを成し遂げます。

無責任で無能な勢力に、われわれの誇りある祖国の運命を委ねることはしません。私は内外の絶体絶命の危機から大韓民国を救い出す大統領になります。

し烈な予備選は終わりました。私たちはまた一つになりました。結党時の初心に返り、暖かい共同体、正義に満ちた世の中に向けた保守革命、政治革命の旗をふたたび掲げましょう。

党員のみなさん、2か月前にこの政党を立ち上げる際に、みなさんに「暖かく清廉な保守を行う」、「堂々と誇らしく『保守』と言えるようにする」と約束しました。

韓国を作り、守り、繁栄させたのは保守です。保守とは文字通り守ることです。経済危機から、韓国を狙う北韓(北朝鮮)の核の脅威から5000年の歴史を持つこの国を守るのは保守です。

そんな保守が現在、跡形もなく壊滅するかもしれない絶対絶命の危機を迎えています。憲法と法律に違反し、自身の罪を認めない前職大統領に対する怒りが、すべての保守に降り注いでいるからです。

だからといって、前職大統領とその勢力のために、保守勢力のすべてが一緒くたに批判されるいわれもありません。この国を守ってきた保守が堂々と顔を上げなければなりません。わたくし劉承旼が、この国の保守を率先して正しく建て直します。

私は苦痛にあえぐ国民の側にたち、勇敢な改革をしようと政治家になりました。私が夢見る保守とは、正義に満ちて公正で、誠実で責任を取り、暖かい共同体の建設のために汗をかいて努力する保守です。

今の韓国は経済も安全保障も共同体も、絶体絶命の危機です。四方が危機です。この危機は政治によってのみ解決できます。

私が大統領になったら、経済の三大危機すわなち「経営実態の悪い企業」、「家計の負債」、「チャイナリスク」という雷管を取り除きます。経済を安定させたあとは、強力な構造改革に着手します。

固着化してしまった低成長、低出産を解決する対策を行います。公正な市場経済を作ります。公正な競争ができるよう財閥にも制限を設けます。ベンチャーが中心になるような市場経済の構造を作ります。

また、国家の利益を最重要視する実用外交を行います。韓米同盟の基調をより強くし、これを土台にして中国など周辺国を説得し、北朝鮮の核やミサイルに対する強力な圧迫を行います。金正恩が核ミサイルを抱いて滅亡の道に向かうのか。平和的な共存の道に進むのかを選ばせます。

THAADは最短期間を配置を終わらせ、中国の経済制裁を外交で解決します。二度と中国が私たちの軍事主権に干渉しないようにします。日本に対しては経済と安全保障は緊密に協力しつつも、歴史と主権の問題については、私たちの自尊を守ります。

新しい軍事脅威に備え、誰であろうとも我が領土を侵すことのないように、強力な拒否的防衛力を持った強い軍を作る国防改革を一から行っていきます。

さらに憲法の精神が生きた、真の民主共和国を作りあげます。両極化、不公正、不平等の問題を解決していきます。貧しさのために機会を逃すことのないように、雇用がなくて人生を放棄する若者のないよう、暖かく正義に満ちた世の中を作るための国家の役割をすべて果たします。

これを土台に国民の大統合を成し遂げます。野党と協力する大統領になります。政治が国民の信頼を得られるようにします。公務員から検察、警察、国家情報院にいたるまで、腐敗を取り締まる強力な制度を導入します。

今回の選挙は韓国の運命を分ける選挙です。この国を再び起き上がらせる機会であると同時に、選択を誤り、国家の運命が奈落の底に落ちる危険もはらんだ選挙です。朴槿恵大統領が嫌だからと正反対の選択をするならば、再び正しくない大統領を選ぶことになるでしょう。

民主党の文在寅候補は安保観、北朝鮮観がとても危険で、経済・労働・福祉・教育・保育など民生の問題において、哲学と政策の不在という無能をさらけ出しています。

このため文候補は「積弊の清算」と「政権交代」しか言いません。文候補が大統領になる場合、5年間、安全保障の危機と経済危機に見舞われ、国家の未来がどこに行くのか分かりません。

多くの国民が文在寅候補と闘って勝てる、強い保守候補を望んでいます。その候補こそ私、劉承旼です。必ず勝ってみせます。

正義感と道徳性を備えた大統領、経済危機と安保危機を克服する能力のある大統領、国民の苦しみに共感する大統領、低成長、低出産、両極化、不平等、不公正といった韓国の積弊を清算できる大統領、正義に満ちた韓国を作る大統領になります。

今日から始まりです。みなさんと一緒に感動の逆転ドラマを作ってみせます。一緒に奇跡を実現しましょう、ありがとうございます。




国民の党は安哲秀候補が三連勝

26日に光州で行われた予備選が大盛況となり、にわかに脚光を浴びている国民の党は28日、釜山(プサン)市内で三度目となる巡回予備投票を行った。この投票は釜山市・蔚山市・慶尚南道をまとめるものだ。

結果は安哲秀(アン・チョルス)前同党代表が74.49%の得票で1位に、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)元民主党代表が17.49%で2位、朴柱宣(パク・チュソン)現国会副議長が8.03%で3位となった。

安氏は25日の光州・全羅南道・済州道の予備投票、26日の全羅北道での予備投票に続く三連勝となる。累積の得票率でも65.58%となり、22.88%で2位につける孫氏との差を広げた。

安哲秀
28日、釜山市内で予備選挙に臨む安哲秀元代表。最近では明るい表情が目立つ。安氏のフェイスブックより引用。

安氏はこの日、釜山方言を演説に取り入れるなど、これまでの固いイメージからの脱却を努力する一方で「文在寅に勝てる候補」というお決まりのフレーズを強い口調でアピールした。

統一候補に向けた「単一化」議論も盛んに

正しい政党は劉承旼候補で決まり、国民の党は安哲秀候補、共に民主党は文在寅(ムン・ジェイン)候補、自由韓国党は洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事で決まりつつある中、「単一化」論が盛り上がりを見せている。

単一化とは、統一候補を決める韓国独特の表現であるが、これまでの大統領選挙でも繰り返されてきた光景だ。

2002年の第16第大統領選挙では、投票日の25日前に鄭夢準(チョン・モンジュン)候補が辞退し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補に一本化、1位の李会昌(イ・フェチャン)候補に勝利する決定的な要因となった。

また、直近の大統領選挙である2012年第18代大統領選挙では、候補者登録の直前に安哲秀候補が辞退し、文在寅候補が朴槿恵候補と一騎打ちすることになった。

だが、今回の選挙における単一化は少し異なる。

以前は保守候補に対する革新候補の単一化だったのが、過去4か月以上にわたって、世論調査で支持率1位を独走する革新候補の文在寅氏に対抗するための候補統一であるという点だ。「非文連帯」とも称される。

REALMETER社3月27日候補者支持率
REALMETER社が3月27日に発表した大統領候補支持率の結果。上から文在寅、安熙正、安哲秀、李在明、洪準杓、金鎭台(敬称略)となっている。劉承旼氏は2.2%でランク外だ。REALMETER社HPより引用。

それぞれの立場を見ると、劉承旼候補は党内予備選の過程でいち早く単一化を語り、競争相手の南景弼知事に批判を受けるほど、単一化に対する必要性を認識している。

やはり中央日報によると、28日の当選後、劉候補は記者団に対し「自由韓国党は国政ろう断に対し責任ある人的清算をしなければならない」と明かしたという。また、洪準杓知事に対しても「裁判中の身で出馬すること自体が理解できない」と線を引いた。

とはいえ、劉候補の支持率は世論調査によると平均で5%以下、2%台のことも多いなど低迷しており、単一化は避けられない見通しだ。

劉氏の候補確定を受け、自由韓国党の印明鎭(イン・ミョンジン) 非常対策委員長も29日午前、記者会見を開き「31日の自由韓国党の大統領候補選出をもって、同委員長職を辞する」と発表した。さらに 「今後は新候補によって党の改革が行われるべき」とし、新体制への道を開いた格好だ。




一方、安哲秀氏はこれまで単一化を強く否定する「自強論」を主張してきた。だが、文在寅氏に勝つためには全国区とは言い難い「国民の党」の力だけでは難しく、単一化は必須という見方が支配的だ。

ただ、単一化の対象となる候補はすべて保守候補であり、革新層が厚い湖南地域を基盤とする同党にとっては元々の支持すら失いかねない選択になる可能性もある。

このため、老練な朴智元(パク・チウォン)同党代表は「時期がくれば国民が道を開いてくれる」と議論を急がない姿勢を維持しつつ、含みを持たせている状態だ。

国民の党にとって朗報なのは、28日にあったある世論調査だ。「文在寅と安哲秀二人だけが出馬する際にどちらに投票するか?」という問に、44%が文氏、40.5%が安氏と答えたというのだ。誤差範囲ということもあり「これが民心だ」と朴代表は自身のフェイスブックに記すなど勢いづいている。

文在寅安哲秀一騎打ち
国民日報系列のインターネットメディア「クッキーニュース」が28日に発表した世論調査。。「文在寅と安哲秀二人だけが出馬する際にどちらに投票するか?」と聞くものだった。調査期間は3月25~27日、調査対象成人男女1,026人、信頼度95%、誤差は±3.1%。同紙HPより引用。

大統領選候補者登録は4月15日、16日の二日間にわたって行われる。この時まで候補者の合従連衡から目が離せない状況が続く。