安哲秀候補 選対本部関係者インタビュー

このような劣勢を安哲秀候補の選挙戦を支える選対本部(キャンプ)はどう見ているのか?筆者は25日、汝矣島(ヨイド)で関係者にインタビューした。尹氏(ユン氏、仮名。40代男性)は選対本部の中堅幹部だ。選挙戦の苦戦を説明しつつも「勝算はある」と明かした。以下、一問一答。

-支持率が下がっている
“想定内なのでそれほど心配していない。朴智元(パク・チウォン、国民の党代表)もこうなることを予期していた。党内では支持率が文在寅候補と並ぶ時期が早すぎたという見方が強い。今後、ギリギリまで追いあげるかたちで投票にもつれこむ構図を予想している”

-「MBのアバター」発言は大きな注目を集めたが
“あの発言をどう受け止めるかは人によって異なるが、風の噂で聞くところでは、共に民主党ではあの発言が出た直後、歓声が上がったという。「MBのアバター」という流言は共に民主党が湖南地域を中心に広めたものと見ている。これに安候補がひっかかったと見ることができる。だが、わが党内では、安候補があえて取り上げることで疑念を払しょくし、党内の団結を図ったと受け止める向きもある”

-共に民主党との差は何か
“一にも二にも組織力が違う。国民の党は湖南中心の党で全国組織が弱い。国会議員がまったくいない地域などでは演説もまともに行うことができない。また、歴戦の選挙の達人が揃う民主党とは、選挙戦への動員から演説方法、広報まで大きく差をつけられている。ネガティブ攻勢への対応もままならない。あまりこういう事は言いたくないが、まるでダヴィデとゴリアテの戦いだ”

-どのように反転攻勢をかける計画か
“国民の党への支持よりも安哲秀候補個人の支持率が高い点に注目している。安哲秀個人のキャラクターとビジョンを打ち出していく考えだ。キャンプ内でネガティブは控えようという雰囲気なので、正攻法でいくしかない”

安哲秀候補写真
シャツをまくり上げ演説する安哲秀候補。4月23日ソウル光化門「未来ビジョン宣言」演説時の様子。同氏のフェイスブックより引用。

-具体的には
“安哲秀候補がソウルの光化門の「未来ビジョン宣言」の演説で言及した「わが国は進歩(革新派、左派)の国でも、保守(右派)の国でもなく、国民の国だ。既得権を打破し、勝利しなければならない」という点を押し出していく。現在の記号1番(文在寅候補)と記号2番(洪準杓候補)こそが既得権だ。この体制を続けるのか、新しい体制を選ぶのかということを強調したい”

-テレビ討論会をどう捉えているか
“安候補が反転のきっかけにできる最高の機会と見ている。政策については、洪候補以外では大同小異なので、それだけで候補の差別化は難しい。結局は討論会を通じ、安哲秀という人間がいかに有能で、いかに新しいかを伝えていく他にない。これまでの3回の討論会ではうまくいかなった。残る3度の討論会に期待したい”

-若年層(19~39歳)での支持が弱い。理由をどう見るか?
“安哲秀候補自身が述べているが、候補自身は若者に最も関心を持っている。2012年当時、全国を回って若者と共感し合ったのがその証拠だ。だが、政治の世界に本格的に入り、短い期間に政治を学び自身の勢力を作る過程で、若者との疎通が後回しになってしまったことが大きな原因と見ている。現在は2030委員会を別途組織し、対策に当たっている”

-湖南地域の支持率が下がっているが
“湖南ではこれ以上、後に下がることは許されない。湖南での支持率が下がる場合、TK地域に「湖南でも支持しない候補を私たちがどう支持するというのか」という疑念を呼び起こすことになり、崩れてしまう。党の支持基盤が湖南にあるため、湖南で文在寅候補と総力戦を行うほかにない”

-洪準杓、劉承旼候補との単一化の噂が出ているが
“安候補も繰り返し述べているが、一本化する予定はまったくない。そういう噂が出るだけで安候補の票が離脱するおそれがある。文在寅候補の支持層は非常に強固でこちらが攻めても票が離脱する可能性は少ない。結局、洪準杓候補をいかに支持率10%以内に封じ込めるかがポイントになってくる”

-勝てると思うか
“十分にその可能性があると見ているし、キャンプでも必死にみな動いている。「シャイ保守」という言葉があるが、「シャイ安」も10%程度存在すると見ている。ただ、文候補との差がこれ以上広がるとTKの離脱が加速する恐れもあるため、ここで食い止める必要はある。5月2日が最後の世論調査結果の発表になるが、その時に僅差の2位につけているのがベストだ”




最後まで混戦か

4月25日に公開された毎日経済の世論調査では今後、支持候補を変えると答えた人が25.4%にのぼった。また、同じく4月24日の朝鮮日報の調査結果でも、同じ質問に対し34%変える可能性があると答えている。特に20代が49.5%と高い。

また、支持候補なしと答えた浮動層も21.3%にのぼるなど「余地」は確実に存在している。

一方、必ず投票すると答えた回答者はいずれの世論調査の結果でも全年齢にわたり80%以上を記録しており、90%を超える結果もある。2012年に行われた前回の第18代大統領選挙の投票率75.8%を大幅に上回ることは確実と見られている。

これまでの選挙で比較的投票率が低かった20代の投票率が上がる一方、60代以上の投票率が減るという調査結果もある。こうなると安哲秀候補には厳しい戦いとなる。




4月20日、調査報道に定評のある韓国メディア「ニュース・タパ」では2014年の地方選挙から2016年の総選挙まで、世論調査機関が発表した選挙予測と実際の選挙結果を比較した結果を報じた。

全体の調査対象1557件のうち、単純誤差は平均で9.55%にのぼった。すなわち、世論調査が選挙で1位と2位の候補の得票率の差を平均で9.55%まちがって予測したのだ。選挙別で単純誤差を見ると2014年の地方選挙は8.5%、2016年総選挙は10.6%だった。選挙区が小さいほど誤差を大きくなる傾向がある。
(中略)
1557件の世論調査の中で、当選者の予測に成功した調査は996件で、予測成功率は64%だった。36%の561件は当選者を予測するのに失敗した。当選者の予測に失敗した調査の単純誤差は平均13.65%となったが、これは当選者を予測した調査の単純誤差の7.23%の2倍近い高い数値である。

世論調査が万能ではないという一例といえる。ただ、そこには明らかな傾向が存在していることは間違いない。

25日深夜、4度目のテレビ討論会が終わった直後、尹さんに観戦評を聞いた。

「あくまで個人的な感想としては、変化への意思が感じられたが十分にその方法を探せていないという印象だった。とはいえ、政策論争に集中する姿を見せることで、これまでよりは明らかに善戦していたことも確かだ。キャンプとしては、これまでの討論会では世間の評価が低かったので、大きなミスが無かった今回の討論会を相対的に高く評価するだろう。ただ、もう少し反転攻勢への意思を見せて欲しかった」

短期選挙の1日は通常の1週間にあたるという声もある。単一化の含みもあり予断を許さない選挙戦は投票日当日まで続きそうだ。

第19代韓国大統領選候補一覧
5月9日投票の第19代韓国大統領選の主要候補者一覧。本紙作成。