支持層の結束を基に、2位・安哲秀候補との差を広げている文在寅候補が、討論会で「当選後」の計画を述べた。国民の党、正義党との協力を明言し、総理の人選についても「嶺南以外から」と構想を披露した。(ソウル=徐台教)

27日午前、ソウル市内の世宗文化会館で放送記者クラブ主催の討論会が開かれ、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン、64)候補が1時間にわたり所信を語った。

放送記者クラブ主催文在寅討論会
27日に開催された、放送記者クラブ主催の討論会。テレビでも生中継された。筆者撮影。

討論会は、放送5社の記者が一人ずつ文候補に質問し、それに答える方式で進められた。主要なテーマの発言を10のポイントにまとめた。

(1)積弊清算と統合は矛盾しないか?

チュ・ウノ解説委員室長(YTN):文在寅候補の代表的なスローガンは「統合、積弊の清算」だ。予備選では「積弊の清算」を、本選では「統合」に重きを置いていた。しかしこの二つは矛盾するものではないか?

文在寅候補:私はこの二つが衝突するものとは思わない。積弊の清算というのは、特定の人々を排除するものではない。この社会を不公正にしてきた要素である政経癒着、不正腐敗、反則や特権を作ってきた不公正な構造や制度、慣行や文化までを洗い流し、公正で正義が実現した韓国を作ろうというものだ。これが実現すれば国民は自然と統合されると思う。そして、統合により実現しようとするのも、やはり公正な韓国だ。コインの両面のようなものと考えてもらいたい。




(2)国民の党は「協治」の対象になるのか?

チュ室長:文候補は「統合は保守・進歩(革新)の枠にとらわれない」と主張したが、そこには安哲秀(アン・チョルス、55)候補の国民の党は入るのか?また「積弊勢力」として規定した自由韓国党も受け入れるのか?

文候補:私の言う「統合」とは、政治勢力の統合ではない。統合の対象は国民だ。これまでわが国の国民は進歩か保守かと、あまりにも分裂してきた。地域間、世代間での分裂もとても深かった。最近では宗教観での葛藤もひどくなっている。

こうなった原因には、自身と考えの異なる人を認めずに「従北」だ、「左派」だと敵対してきたことがある。ひどい場合には政治がこれを利用することで、国民の統合を妨げてきた。こうした分裂の政治を終わらせるのが私の仕事だ。保守と進歩という言葉は何の意味も持たない時代になったと思う。だからこそ保守・進歩が共に歩むべきと考える。

また、政治勢力との協力を考える場合は「協治」となる。政権交代が行われる場合、安定した議席が必要になるが、その第一の対象は、既存の野党政党だ。国民の党、正義党は政策の連帯を通じて共にやっていける。国民の党は、もともと同じ根っこであるので、当然、統合の可能性もあると私は見ている。

韓国大統領選世論調査推移グラフ
直近の世論調査結果をまとめた表。安哲秀候補の支持率が下がり続け、文候補との左は最大で22%弱にまで開いているのが分かる。最新の調査で文候補の支持率が下がっている原因は、4月25日のテレビ討論会で「同性愛に反対する」と述べたことに一因を求める向きがある。本紙作成。

(3)非好感度も高く、覇権主義との批判もあるが?

イム・グァンギ選任記者(SBS):文在寅候補は好感度も高いが、非好感度も高い。拒否感の理由はなんだと思うか?

文候補:私に限った話ではないと思う。それでも最も支持を受け、反対が少ないから1位なのではないか。「文在寅でなければ誰でもいい」という反対の実態は、政権交代に対する恐れだろう。だが私は、大統領選の過程でどの立場であったにせよ、政権交代後にはそうした人とも手をつないでいく。積弊の清算は我々が手を結んでこそ可能と見る。合理的な進歩(左派)、改革的な保守であれば、どんな人とも一緒になる勇気を持っている。

イム選任記者:文候補を批判する人の大半が派閥覇権主義を指摘する。当選後、この部分について心配する人たちが多いが。

文候補:競争相手を攻撃するために作り上げたフレーム(枠組み)ではないか。今は予備選を闘った候補の政策専門家までもが共に選挙戦を闘っている。われわれ、共に民主党は文字通り、民主主義者の政党だ。もし本当に覇権主義ならば、国民にこんなに支持を得られるはずがない。逆に過去の覇権、つまり派閥のボス同士が裏で党職や議員推薦枠をやりとりしていた政治文化を完全に打破し、革新したのが私であると国民は見ているはずだ。

イム選任記者:「ムン派」と呼ばれる忠誠心の高い支持者たちの行動が度を越す場合、国民の統合の阻害要因になるのでは。

文候補:私こそが、他の候補のすべてを合わせたもの以上にSNSやオフライン上で攻撃を受けてきた。その中には口に出せないようなものもあった。しかし私はそれに対して一度も不平を述べたことがない。それも国民が政治的な意思を表明する方法の一つだと思っているからだ。

今の国民は選挙の時に投票だけする間接民主主義では満足できない。主権者として直接意思を表現し、行動したのが「ろうそくデモ」ではなかったか。この事実だけは私たちが認めるべきだ。その上で度を越した行動は自制するべきと支持者に伝えた。




(4)総理の人選は決めてあるのか?

チャン・グァンイク政治部長(MBN):「統合」を具体的な人事を通じ証明する必要がある。「大蕩平(18世紀の李朝時代の政策で、党派に均等な人事登用のこと)」を行うというが、国務総理を湖南地方(光州、全羅南北道)出身の人物にするつもりか?

文候補:今の段階で特定の地域を言及するのは難しいが、はっきりとしているのは、「国民大統合」の観点から人選を行う計画であるということだ。私が嶺南地方(大邱市、釜山市、蔚山市、慶尚南北道)の出身であるため、嶺南でない人物を初代の国務総理に選ぶ。

チャン政治部長:すでに人選を終えているのか?

文候補:私が念頭に置いている人物はいる。われわれの政治文化がもう少し成熟していたら、適当な時期に公開し、国民の判断を仰ぎ、内閣の人選についても披露する過程が望ましいと思う。しかし、今の政治風土では誤解される可能性があるので、(選挙の)最後の段階になった時に、総理の姿を見せる必要があると思っている。ともかく、大統領の権限でできる内閣と政府の構成を文字通り「統合政府」ならびに「大韓民国ドリームチーム」としたい。

文在寅写真
発言する文在寅候補。目は充血し、多少やつれて見えたが、口調ははっきりしており、態度にも自信が見て取れた。大統領候補ナンバーワンであることは間違いない。筆者撮影。

(5)2007年国連人権決議案問題の説明をいま一度

キム・ギヒョン政治部長(MBC):宋旻淳(ソン・ミンスン)元外交部長官が公開した文書(編注:北朝鮮側の返信。強い表現で書かれている)を見ると、お礼の言葉や喜ぶ評価や表現が見られない。「(人権決議案の)棄権」を通告したものと見るのは難しいと思うが、説明をお願いする。

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また、棄権を選ぶ場合の北側の反応は予想しやすいことから、なぜ知らせる必要があったのか知りたい。最後に、大統領になっても当時のように北側に先に意見を聞く手続きを行う用意があるか。

文候補:今のモノサシで当時を測ってはならない。当時は南北首脳会談の直後であったし、南北総理寒暖、南北国防部長官会談、副総理会談など多くの後続会談が行われていた。宋元長官の本にもある通りだ。そこで外交部は外交部として北と接触し、統一部は統一部のルートを使って様々な情報を手に入れ、国家情報院は当然のように北の情報を手に入れる。こうしたことこそ、理想的な南北関係ではないか。当時に戻るべきだと言いたいが、誤解なきよう願いたい。

北に対する通告の内容だが、棄権を通告したのではない。金萬福(キム・マンボク)国家情報院長(当時)が明かしているが、「我々が多大な努力をした。決議案の処理において南北関係に何ら影響はなく、後続の会談を行う」という通知をし、北の反発を先にうやむやにする高度な外交戦が行われていた。




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