ノルウェー発のNetflix限定シリーズ「ラ・パルマ」は、クリスマス休暇でスペインのカナリア諸島を訪れた家族が、予期せぬ火山噴火に遭遇し、サバイバルを強いられる姿を描いたヒューマンドラマです。
ラ・パルマを楽しむためのポイント
例えば、両親が危機に対して異なる対処法をとることで、子供たちにどのような影響を与えるのか、娘の新しい恋愛関係が彼女の行動や決断にどう影響するのかなど、登場人物たちの言動や関係性に注目です。
ラ・パルマのあらすじ
クリスマスシーズン、家族でカナリア諸島のラ・パルマ島へバカンスに訪れていた一家。
しかし、滞在中に突如火山が噴火。島は火山灰と溶岩流に覆われ、パニックに陥ります。 一家は安全な場所を求めて島からの脱出を試みますが、火山灰で視界は遮られ、道路は溶岩流で寸断され、通信手段も絶たれてしまいます。
食料や水も不足し、避難場所も限られる中、彼らは協力して困難を乗り越えなければなりません。
一家は、刻一刻と変化する状況の中で、次々と難しい決断を迫られ、その度に家族の絆が試されることになります。
挑戦と決断
ラ・パルマ島を襲った火山噴火は、島民や観光客に様々な試練を与えます。 主要な登場人物である一家は、安全な場所を求めて島からの脱出を試みる中で、次々と困難な状況に直面します。
- 火山灰
噴火により発生した膨大な量の火山灰は、視界を遮り、呼吸を困難にするだけでなく、エンジンや電子機器の故障を引き起こし、彼らの脱出を阻みます。 - 溶岩流
灼熱の溶岩流は、道路を寸断し、建物を焼き尽くし、彼らの避難経路を塞ぎます。溶岩流の進行方向を予測し、安全なルートを見つけ出すことが生死を分ける重要な課題となります。 - パニック
突如発生した災害に、人々はパニックに陥り、混乱が生じます。避難場所や物資の奪い合い、誤った情報による混乱など、予期せぬ事態が次々と発生します。 - 情報不足
通信手段が限られる中、正確な情報を得ることが難しくなります。噴火の規模や今後の推移、避難経路の情報など、生死に関わる情報が不足し、不安と恐怖を増大させます。 - 物資の不足
噴火の影響で、食料や水、医薬品などの物資が不足します。限られた資源をどのように分配し、生き延びるかが大きな課題となります。
結末やネタバレを含む詳細な考察
「ラ・パルマ」は、Netflixで配信されている全4話の限定シリーズです。 各エピソードは1時間以内とコンパクトにまとまっています。
火山噴火という自然災害を描く一方で、登場人物たちの心理描写に重点が置かれており、特に娘が噴火という極限状態の中で恋に落ちるという、一見すると場違いなエピソードが描かれている点が特徴的です。
このエピソードは、様々な解釈が可能です。
- 混沌の中の希望
噴火という絶望的な状況下でも、新たな出会いや愛を見出すことで、人間は希望を持ち続けることができるというメッセージなのかもしれません。 - 過酷な現実からの逃避
極限状態において、恋愛は現実の苦しみから目を背け、心を慰めるための手段として機能しているとも考えられます。 - 人間の精神の resilience
どんな状況下でも、人間は愛や希望を求め、力強く生きようとする本能を持っていることを示唆しているのかもしれません。
この一見不自然なエピソードが、作品全体にどのような意味を与えているのか、視聴者それぞれが考察することで、より深く作品を楽しむことができるでしょう。
- 家族の絆
噴火という危機に直面した家族は、互いに助け合い、支え合うことで困難を乗り越えようとします。
しかし、それぞれの性格や価値観の違いから、意見の対立や衝突も生じます。
作品は、危機的な状況下における家族の複雑な心情をリアルに描き出しています。 - 希望
登場人物たちは、火山噴火という未曾有の災害に直面し、絶望的な状況に追い込まれます。しかし、彼らは諦めることなく、知恵と勇気を振り絞り、生き延びる道を探します。
作品は、極限状態における人間の強さ、そして希望を捨てない不屈の精神を描いています。 - 自然の脅威
火山噴火は、人間の力では到底及ばない、自然の圧倒的な力を示しています。
作品は、美しい自然の裏に潜む脅威、そして自然に対する畏敬の念を改めて認識させてくれます。
家族はバラバラになるのですが、結果的には全員生き残ってのハッピーエンド?いや、家族以外の人は結構死んでいるのでハッピーではないですね。
飛行機で逃げようとした娘と娘の恋人キャシーですが、離陸許可が出るのが遅くて結局津波に巻き込まれます。乗客が早く飛行機を出せと騒ぐのですが、なぜこんな逼迫した状況(津波はもう見えてる)で早く飛行機を出さなかったのかが謎すぎたり、津波にあったのに奇跡的に生きてる娘と心臓マッサージで復活するキャシーのエピソードはやりすぎな気もします。
また、大噴火が起きたのにあまり大きな地震があったようなシーンが無いのがちょっと疑問に感じました。
面白かった点
火山噴火の脅威と、それに対する人々の反応がリアルに描かれていた点が印象的でした。また、限られた時間の中でのスリリングな脱出劇は、ハラハラドキドキしながら見ることができました。
物語の舞台 ラ・パルマ島
舞台はスペインのカナリア諸島、ラ・パルマ島です。 クリスマスシーズンという設定が、火山噴火の悲劇と家族の温かさを対比的に際立たせています。
ラ・パルマ島は実際にある島で北大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島を構成する島の一つです。
諸島の西北端に位置しています。その自然の美しさから「美しい島(ラ・イスラ・ボニータ La isla bonita)」とも呼ばれています。
基本情報
- 位置:アフリカ大陸の北西、モロッコ沖の大西洋上
- 面積:約706平方キロメートル(奄美大島とほぼ同じくらいの広さ)
- 人口:約8万5千人
- 最高地点:ロケ・デ・ロス・ムチャチョス山(標高2,426m)
特徴
- 自然:
- カナリア諸島の中で最も緑豊かな島として知られ、多様な動植物が生息しています。
- 島の中心部には巨大なカルデラ(タブリエンテ・カルデラ)があり、国立公園に指定されています。
- 火山島であり、近年(2021年)もクンブレ・ビエハ火山で噴火が発生しました。
- 天文観測:
- 空気が澄んでおり、天体観測の条件が非常に良いことから、世界でも有数の天文観測所があります。多くの国の天文台が設置されており、日本が関わる大型望遠鏡もあります。
- 歴史:
- 15世紀の大航海時代には、ヨーロッパとアメリカ大陸を結ぶ重要な貿易拠点として栄えました。
- 中心都市のサンタ・クルス・デ・ラ・パルマは、かつてスペインの重要な港の一つでした。
観光の見どころ
- タブリエンテ・カルデラ国立公園:巨大なカルデラや原生林など、壮大な自然を満喫できます。
- ロケ・デ・ロス・ムチャチョス天文台:世界各国の天文台が集まる場所で、星空観測ツアーなども開催されています。
- サンタ・クルス・デ・ラ・パルマ:歴史的な建造物が残る美しい街並みを散策できます。
- ビーチ:火山性の黒砂のビーチなど、個性的なビーチが点在しています。
歴史的な噴火記録
ラ・パルマ島では実際に火山噴火が起きています。
15世紀以降、噴火の記録が残されています。穏やかな噴火や溶岩流が、時に人々の生活に影響を与えてきました。主な噴火は以下の通りです。
- 1585年:溶岩流が海に達した記録があります。
- 1646年:この年も溶岩流が海に到達しています。
- 1677年~1678年:この時の噴火で、島の南端に広大な溶岩流地帯が形成されました。
- 1712年:この噴火でも溶岩流が海に達しています。
- 1949年:ベレン山(Volcán de San Juan)の噴火。この噴火では、地割れや地震も発生しました。
- 1971年:テネギア火山(Volcán Teneguía)の噴火。この噴火は観光名所にもなっています。
2021年のクンブレ・ビエハ火山噴火
最も新しい噴火は、2021年9月19日にクンブレ・ビエハ火山で発生しました。この噴火は50年ぶりであり、大きな被害をもたらしました。
-
噴火の経過:
- エル・パライソ集落の東側山腹の複数地点から噴火が開始。
- 大量の溶岩が流出し、島西部にあるラ・ラグーナという街に流入。
- 約5000人が避難。
- 溶岩流は家屋1300棟以上を破壊し、バナナ園やブドウ畑など約1250ヘクタールの土地を覆いました。
- 2021年12月25日に終息宣言が出されました。
-
噴火の影響:
- 家屋や農地、インフラへの甚大な被害。
- 住民の避難生活の長期化。
- 島の経済に大きな打撃(特にバナナ産業)。
- 大気汚染や火山灰による影響。
この2021年の噴火は、近年の火山活動の中でも大きな規模であり、ラ・パルマ島に大きな爪痕を残しました。
噴火の特徴
ラ・パルマ島の噴火は、主に溶岩流を伴う噴火が多いのが特徴です。溶岩がゆっくりと流れ出すため、比較的避難の猶予がある場合が多いですが、その破壊力は甚大です。また、過去の噴火では、地震や地割れなども発生しています。
ラ・パルマ島は火山島であり、今後も噴火の可能性はあります。そのため、常に火山活動の状況が監視されています。
ラ・パルマはネットフリックスで配信しています。